男が降参ッ!妊娠した時、女性が知っておくべき法律知識13ヶ条
『妊娠して子供ができちゃった・・・でも彼が結婚してくれない』
『子供がいるけれど、離婚したとたん養育費を支払ってもらえない・・』
なんて女性の悩みは巷であふれかえっています。
最近は、結婚もラフな感じになってきて、結構『デキちゃった婚』をするカップルが多いですが、これは実に幸せな例だと思います。
女性からすると一種のギャンブルのようなもの、たとえ子供ができたとしても男性が『結婚はできない』と言えば、女性は極めて苛烈な決断を迫られます。
もちろん、無責任な男性にも問題がありますが、自分をちゃんと守らなかった女性にも一定の非があることは誰も否定しないでしょう。
でも、泣き寝入りするには、まだまだ早い!
そういう時こそ、法律の知識があるということが意外と心強い味方になってくれます。
この記事では、男の本音から、これをやられるとどうしようもない!と男が降参してしまう、『妊娠した時に知っておくべき法律知識』についてざっくり解説してみました。
『デキちゃった』で困るのは圧倒的に女性
意外と多い『デキ婚』
昔は考えられなかった『デキ婚』。
最近は、結婚に対する考え方もずいぶんラフになってきたのか、結構、結婚前に妊娠が発覚し『できちゃった』という理由で結婚するカップルは多くなってきました。
以前見かけたニュースでは、結婚に踏み切ったカップルの内、30%くらいはデキ婚だった?ような記事を見かけた記憶が残っていて、非常にびっくりしたのを今でも覚えています。
昭和の時代なんかだと、結婚前に妊娠し『できちゃった』なんてなると、大騒動だったそうですが、今は、結婚に踏み切る一つのキッカケのようにもなっているので時代は変わったと痛感しています。
しかし『デキ婚』の離婚率は高い
結婚のキッカケにもなり得る『できちゃった(妊娠)』という理由ですが、この理由で結婚した『デキ婚』カップルの離婚率は、それ以外の理由で結婚したカップルに比べて、非常に高くなりがちであるという調査結果が報告されています。
私の周囲にはデキ婚カップルが少ないため、離婚率が高いというイメージは無かったのですが、一般の調査だと圧倒的に高くなる傾向にあるそうです。
確かに、結婚した理由が『できちゃった(妊娠)』という理由だけのカップルならば、そういう結果に終わってしまうことは往々にしてあり得るでしょうが・・・。
デキ婚とはいえ、結婚すれば女性にとっては結果オーライ。
『デキ婚』というのは、男の本音と世間一般の認識から正直なことを言ってしまうと、結婚の理由としてはイメージが悪いというのは純然たる事実です。
これは包み隠さず申し上げましょう。
社会人の一般的に良識と価値観とマナーがあれば、『順番が逆』というのは、女性の親御さんに極めて礼を欠いているという点で、マナー違反の側面は否めませんから。
しかし、そんなことは置いといて、結婚という結果に至ったという点においては、そのカップルは祝福されるべきです。
ただ、『できちゃった(妊娠)』にもかかわらず結婚しない場合は話が別です。
結婚していない状態で、女性が妊娠してしまい『できちゃった』という事態。
この状態は、男性と違い、女性にとっては非常に不安定な状態に追い詰められている事件であるといっても過言ではありません。
というのも、男性が結婚しないという決断に至った場合、仮に結婚せず子供を育てるという選択をするならば、女性は一気に経済的に追い詰められてしまうからです。
もちろん、女性側の親御さんが健在であれば、援助してくれる場合もあり得るでしょうが、そうでない場合は、非常に不利な状況に置かれてしまいます。
他方で、『産まない』という決断を、女性が下した場合でも、やはり、大きな精神的苦痛を伴い、将来に渡ってその傷を抱えることになるでしょう。
大抵、男に何らかの責任感やプライドがあるならば、結婚という選択を採り、女性が不利な状況に追い詰められるという苛烈な展開にはならないでしょう。
しかし、適当で責任感薄い男が相手であれば、女性は『産まない』『産む』どちらの選択をしても、先は地獄です。
だからこそ、結婚前・結婚後・離婚時・離婚後の法律知識が大切
結婚前に女性が妊娠してしまい『できちゃった』にもかかわらず結婚に至らない場合、女性にとって、目の前に直面する問題のほとんどは、『お金の問題』だと思います。
特に、20代女性の場合、一般的には、多額の貯蓄があるとか、収入が男性より多いという人は、どちらかといえば少数派でしょうから、ほとんど確実にお金の問題が浮上するかと思います。
そういう場合、相手の男性から『法律上もらえるものはもらっとく』という視点がすごく大切になります。
そこで、これを実現していくためにも、素人的な付け焼刃でも『法律知識』が強い味方になってくれるのです。
女性がリアルに妊娠した時知っておくべき法律知識
1)『生む』『生まない』の全権は女性にあり
『結婚前に「できちゃった」場合、産む産まない選択は、カップルで話あって決めるものでしょ?』
と考えている肩も多いはず。
確かに穏便なのはその通りですが、法律上、生む生まないの判断は、女性に委ねられています。
女性が産むと言ったら、産めますし、男性は止めることができません。
意外と、知らない人多いですが、経済的な観点を考慮しなければ、男は子供を産む産まないに関して、最終判断は女性に決定権があるんですね。
男の本音としては、これ結構怖いことだったりします。
2)認知という制度
女性が一人で出産すると、法律上は相手の男性の子供ではない?
女性が、結婚していない状態で『子供を産む』という判断をしたとしましょう。
ここで、鋭い人だと、一つ疑問が湧くはずです。
『確かに、子供を産む産まないの決定権は女性にあるのは分かったけれど、女性が一人で産んだら、男性の子供じゃないってことになんないの?』
って疑問。
その通り!
結婚していないカップルの間で産まれた子供は、法律上は、女性だけの子供であり、男性の子供であるとは推定されません。
これを、法律用語で『嫡出推定<ちゃくしゅつすいてい>(民法772条)がされない。』といいます。
『嫡出』って言葉は、一般的に見慣れない言葉ですが、簡単に言うと、『その男性(女性)の子供として産まれた』というようなニュアンスがあります。
つまり、結婚していない状態で妊娠してしまい『できちゃった』ケースにおいて、女性が一人で子供を出産すると、その子供は法律上当然に、相手の男性の子供であるとは言えないということになるのです。
もちろん、事実上、男性の子供であるのはわかりきっていることですが、法律上は男性の子供であるとは認められていないことになります。
相手の男性の子供と認めてもらう!
この状態は、『男性にその子供を養育する義務が法律上発生していない』という結論に直結するため、後述する、子供(女性)の養育費請求権に関連して問題となってきます。
だからこそ、女性は、事実上だけでなく、法律上も相手の男性の子供であると、男性に認めてもらうため、『法律上の制度』を利用し、男性に手続きを採ってもらう必要があるのです。
その、制度のことを、『認知』といいます。
『認知』という言葉は、広く一般に浸透している用語ですが、簡単に言えば『相手の男性が、その子は法律上も自分の子供ですと認める制度』です。
つまり、男性が自発的(任意)に『その子は俺の子だ!』と認めることを認知というのですね。
これを『任意認知』と言います。(認知にはもう一種類あり、口述するのは『強制認知』。)
この『認知』は、男性の子供であるとして、男性に子供の養育義務が発生するかどうか?に関わる極めて重い意思表示ですので、非常に重要な制度です。
言い換えると、『認知』しなければ、男性には養育義務も発生しないことになり、いわゆる養育費の支払い義務も無いということになります。
そのため、女性にとっては、子供を一人で産む場合、男性が認知してくれるかどうかは今後の生活に関わる極めて重大な問題なのです。
<おまけ>結婚しているカップルでは認知は必要ない?
結婚しているカップルの場合は、前述の嫡出推定が当然に働きます。
ですので、法律上2人の子と推定されますので、男性側から特別に子供の認知をする必要がありません。
結婚していると、男性は、子供が生まれれば法律上当然に養育義務が生じます。
3)強制認知って?
強制認知の手続き
女性が、結婚する前の状態で妊娠が発覚し『できちゃった』ことによって、一人で子供を産まなければならなくなった場合、男性の『認知』が、男性の養育義務の発生を左右する、極めて重要なポイントになることは前述のとおりです。
つまり、男性が認知をしなければ、男性にその子の養育義務がないということになり、いわゆる養育費の支払いをしなくても、法律上なんの問題もないという事態に陥ってしまいます。
これでは、女性が一人で子供を育てる場合、あまりにも経済的不利な立場に置かれてしまい、あまりにも不公平な結果になります。
男性の自発的な行動に委ねる、『任意認知』にはこういう欠陥があるんですね。
そこで、法律は、『強制認知』の制度を設けています。
仮に、相手の男性が、『その子は自分の子供である』と認知を拒否したとしても、女性は、相手の男性に強制的に認知をさせる手続きを裁判所に申し出ることができます。
この手続きを経て、勝利すれば、男性に認知させることができます。
強制認知の手続きは、少し複雑です。
1)調停を経る必要がある
2)調停が不調に終われば、訴えによる必要がある
これを簡単に説明すると、相手の男性(父となる者)が認知をしてくれない場合、まずは家庭裁判所での認知調停を申し立てることになります。
調停とは、一般的な裁判ではなく、個室のようなラウンドテーブルで、当事者(女性・相手の男性・裁判官・司法委員・書記官)が話し合いを行います。
でも、男性がこの調停に出席しなかったり、話し合いがまとまらなかったりすることも多々あります。
これを『調停が不調に終わった』といいます。
この段階を経て、初めて次の段階、もっと強烈な手続きである、『訴え(裁判の申し立て)』を行います。
裁判で、勝てば、男性が何を言おうとも強制的に認知を認めさせる結果が得られます。
認知の効果
認知には、下記の2つの効果があります。
- 1)男性の養育義務の発生。(養育費を支払う義務の発生)
- 2)子供が男性の遺産を相続できる相続権の発生
認知は、女性だけでなく、まずは子供にとって、極めて重大な制度なので、絶対に放置してはいけません。
4)養育費請求権
結婚していない状態で、女性が男性の子供を産む場合、認知という制度が非常に大切である点は前述のとおりです。
男性が、自分の子供であると認知して初めて、男性にその子の養育義務が発生し、養育費の支払い義務も発生します。
この養育費の請求権なのですが、一般にその権利は『子を産んだ女性(母)』にあると勘違いしている人が多いですが、養育費請求権は、子供の権利です。
ただ、産まれてばかりの子供が、法律上の権利行使を正しくできるはずが無いため、通常は、母親が子を代理して行使します。
相手の男性が認知して父親になったにも関わらず、養育費を支払わない場合は、この養育費請求権を行使していくことになります。
5)養育費を請求するために法律上やっておくべきこと
相手の男性に認知してもらうと、父親の養育費の支払い義務と、子供の養育費請求権が発生することになります。
でも、それはあくまで抽象的な権利で、具体的に養育費が『いくら』なのか?という養育費の額は、法律上当然に決まるわけではありません。
だからこそ、相手の男性(父となる者)が認知に応じる段階で、ちゃんと養育費の額まで決定しておく必要があります。
その上で、養育費をいくらにするのか?いつまでに支払うのか?そういう合意の内容を、しっかり『書面』にまとめておく必要があります。
上記の合意は、法律上『当事者の合意』のみで成立しますが、書面にまとめておかないと、後々養育費を請求していく裁判などで不利になりますので、書面は面倒がらずかっちりしたためましょう。
- 1)認知の文言(子は誰でその子を自身の子と認める旨の記述)
- 2)養育費の支払い義務を認める旨の文言
- 3)養育費の月額
- 4)養育費の支払い期限
- 5)出来れば第三者(立ち合い証人)のサイン
- 6)認知の文言と養育費の支払い義務を認める旨の文言
- 7)相手の男性(父親)の署名捺印、現住所の記載も
- 8)できれば相手の印鑑証明書の写しもしくは原本をもらう
- 9)できれば相手の免許証のコピーもしくは住民票をもらう
6)意外と簡単な本人訴訟
ここまで、結婚前に女性が妊娠し『できちゃった』場合で、女性が一人で子供を産む場合の法律上の手続きや知識までザックリ書いてきました。
認知や強制認知の手続きを採る事で、第一次的に子供に、そして第二次的に女性に、様々なメリットが生じます。
そこまでやっても、世の中には、『養育費』を踏み倒そうとする男性は一定割合存在するようです。
ここまでくると、もう最低の人間と言わざるを得ませんが、相手の男性(父親)に対して権利を実現していくための手続きを設けています。
それが、裁判です。
『裁判なんて本当に難しそう』
と考える人が多いかもしれませんが、養育費を請求する裁判などは、『債権を実現していく裁判』なので、そう難しくありませんし、弁護士に頼らなくても、自分で普通に申し立てができます。
ご自身の住んでいる地域を管轄している裁判所がどこか探し、その裁判所の窓口に出かけてみましょう。
通常は『簡易裁判所の民事受付係』というところに行けば、そこで働いている受付担当が、暇な場合などは、申し立て方法まで教えてくれます。(ただし、受付係が忙しい時は、邪険にされます。)
弁護士にお願いすると何十万もかかりますが、自分でやれば1万円以内で裁判は可能です。(申し立て額によって申し立て費用は変わる。)
7)意外と簡単な強制執行
相手の男性(父親)が、ちゃんと定職についている場合は、養育費を差し押さえることができます。
強制執行を行うには、前提として、『債務名義(債務名義)』が必要です。
債務名義とは、一般に裁判を経て、確定した判決正本のことを指しますので、強制執行の前提として、裁判を経ている必要はあります。
この強制執行の手続きも、意外と簡単に申し立てできますし、申し立て方法については、ご自身がお住まいの地方裁判所の債権執行係というところに問い合わせれば、書記官が暇な場合、申し立て方法や書式まで教えてくれます。
書式についても、裁判所のHPにダウンロードできる書式がたくさん掲載されているので、それを使用すれば結構簡単に申し立てできます。
ちなみに、相手の男性(父親)に対しての強制執行で最も簡単なのは、『給料の差し押さえ』です。
相手の働いている会社さへ分かれば、手続きは素人でも簡単に実施できます。
8)強制執行に必要なことを調査
これは、相手の男性(父親)に連絡が取れるならば、その男性から、『就業場所(働いている会社)』や『銀行口座の口座番号等』を聞くことです。
4)で紹介した念書に、全て書いておいてもらうと、後々楽だったりします。
他には、最近は、SNSでの発言を拾っていけば、意外と働いている会社を特定することもできますし、友人・知人を当たれば、働いているところくらい調査することは容易です。
9)万一『中絶』することになった⇒費用負担の法律知識
結婚していない状態で妊娠が発覚し『できちゃった』場合において、女性が必ずしも『産む』という判断をするわけではないと思います。
自身の将来や経済状況を検討し、苦渋の決断として、『中絶する』という決断を下す女性も多いでしょう。
この場合、特に問題となるのは女性の精神的苦痛であろうかと思います。
しかし、同時に、『中絶費用の費用負担は誰にどれだけあるのか?』という法律上の負担義務の問題が、疑問として浮かび上がります。
世間一般で、道徳的な見解として、『中絶の費用は男性が負担するのが筋だろう!』という主張は多いですし、100歩譲っても、男性は少なくとも半額負担が筋だというのが世間一般の共通見解で間違いないと思います。
ところが、法律上、女性が中絶費用を男性に請求できるか?というと、原則は『できない』という結論になります。
つまり、仮に『できちゃって』女性が中絶した場合でも、男性は法律上当然にその費用を負担する義務はないということです。
例外として、例えば、女性と男性との間で、『中絶費用の負担は男性がする』という合意があり、書面をしたためているような場合であれば、中絶費用の負担義務が男性にあると、法律上判断されることになろうかと思います。
でも、そういう合意や書面がない場合で、女性が中絶した場合、その費用の負担義務の一切は女性にあるということになるのです。
この部分は、注意する必要がります。
男性に相談せず、勝手に中絶して、費用だけ男性に請求したいという女性は多いですが、男性が『支払わない』といえば、もうどうしようもありません。
10)婚約の成立時期
結婚前の段階で妊娠してしまい『できちゃった』場合、男性側が一度は『結婚』を口にするものの、後で気変わりし、『やっぱり結婚できない』と言い始めるという展開は全くもって珍しくないケースです。
事実、上記と同様の展開になって、『どうしよう』と悩みを抱える相談はネットの掲示板にあふれかえっています。
ただ、法律上、婚約は、カップルの『合意』のみによって有効に成立します。
例えば、『◎◎ちゃん結婚しよう』、『はい』で、このカップルの間では婚約が成立しています。
一度男性が、結婚を口にして、後に心変わりをしたという冒頭のケースでも、一度は男性側が結婚を口にしている以上『婚約』は成立していますので、たとえ男性が心変わりを申し出たとしても、婚約が破談になれば、最悪、女性側は男性に対して、婚約の不履行に基づく損害賠償請求をすることはできます。
ところが、日本では、『婚約の成立』は口約束にとどまる場合がほとんどで、婚約があったとして書面をしたためるような習慣はありません。
そうすると厄介な問題が噴出します。
つまり、そのカップルの間で『婚約の事実』があったのか?という疑問です。
いくら、女性が『婚約した!』と主張しても、書面も何もないのですから、男性が『そんなはずはない』といえば、女性は婚約の不履行に基づく損害賠償請求をする上では、『婚約があった』という事実を証明しなければなりません。
しかし、書面も何もない以上、カップルの間に『婚約が成立している』という事実は、客観的な周辺事実から推測するしか方法がありません。
この時、婚約の事実の証明として非常に有力な証拠となるのが、下記のような事実です。
- 1)婚約指輪の購入と授受
- 2)両家へのあいさつ
- 3)賃貸の際の契約書欄に『婚約者』との記載あり
- 4)結納の事実
- 5)結婚式の打ち合わせ
- 6)結婚式場の下見
11)婚約解消時の賠償(慰謝料)について
10)で婚約の不履行に基づく損害賠償請求という話が登場しましたが、カップルの間で婚約が成立すると、両者にはそれを履行(約束を守る)義務が発生します。
不履行とは、すなわち、法律上の約束を破ることです。
そうすると、例えば、女性が退職していただとか、賃貸物件の費用、結婚式場の予約をしていた場合などはキャンセル料等の現実的な損害が発生します。
特に、女性の場合は、婚約に伴って『寿退社』をする場合もありますので、経済的損害は大きくなりがちです。
また、男性側の浮気が原因である場合などは、女性側に精神的苦痛が加わるため、いわゆる『慰謝料』といわれる精神的な損害賠償義務も、男性側に発生します。
もちろん、『できちゃった』結婚を目前にしていた場合の婚約の破談についても、もちろん上記の請求権は発生します。
この場合、当然10)で書いたような『婚約の事実の立証』が非常に大切になってきます。
婚約の不履行に基づく損害賠償はとりわけ高額になる可能性が高く、婚約後、女性が退職していた事案では、女性側の請求で、数百万円の請求を認めたものもありますので、この点は、自分の身を守る法律知識として知っておくと有利です。
特に、結婚前に妊娠して『できちゃった』場合の婚約は、男性側の心変わりの確率が高いケースなので、どういう場合に婚約の事実があったと推定されるか、覚えておくと自己防衛につながります。
12)公正証書って何?
6)と7)で、裁判と強制執行の話をしましたが、養育費についての取り決め等について、書面をしたため、それを『公正証書』にする手続きを経ておくと、裁判を経ずしていきなり強制執行を実施することができます。
原則として、強制執行を行うためには、権利が正しく成立しているかどうかを判断するため、裁判や調停という手続きを経ることが必須条件です。
しかし、ある当事者の間で権利義務が存在することを確認した『契約書』等の書面を、『公正証書(強制執行認諾条項付)』にしておくと、裁判は必要なく、いきなり強制執行の申し立てが可能になります。
例えば、結婚前に妊娠して『できちゃった』けれど、結婚しないカップルで、男性が養育費の支払い義務を約束した契約書を取り交わしたとします。
このままだと、いざ男性が支払いを怠れば、一度裁判という手続きを経た後でなければ、男性の勤務先などに強制執行を実施することはできません。
しかし、上記の契約書を、公証役場という国の機関にもっていって、当事者の面前で、契約書を『公正証書』にする手続きを採ります。
そうすると、万一、男性が養育費の支払いを怠った場合でも、即強制執行が可能となります。
契約書を一歩進んで公正証書にしておくと、裁判という面倒な手続きを経ずして強制執行が可能ですので、非常に便利です。
ただ、公正証書には以下の点で不便があります。
- 1)契約書を公正証書にすることに相手が合意していなければならない。
- 2)強制的には公正証書を作成できない
- 3)公正証書を作成するということは、相手が信用ならない人であるという意思表示ととらえられかねない
- 4)手続きが非常に面倒
13)しかし、法律には限界があるという『法律知識』
女性がいざ妊娠してしまった時には、自分を防衛するために、様々な法律知識を知っておくと、自己防衛につながる側面が多々あります。
ただ、法律は、万能ではありません。
むしろ理不尽です。
特に、養育費請求権や、婚約の不履行に基づく損害賠償請求権というのは、民法上の『債権』という極めて弱い権利の一種です。
債権は、法律上の権利の中でも、その権利の実現が、一番困難な権利でもありますし、法律上の保護もさほど得られている権利であるとはいえません。
だからこそ、往々にして『逃げるが勝ち』のような展開になっても、泣き寝入りする他ないなんてこともあり得ます。
欧米では、このような債権を保護する法改正が進んおり、債権を保護するために、債権の行使(請求)に対する履行がなければ、それに対して罰則を科すという法律を制定している国もあります。
日本では、記入関係者の請求行為を厳格に規制する流れが一般的ですが、一部の強く保護されるべき債権については、より法律で保護していくべきなんじゃないか?って思う次第です。
法律も全く持って万能ではないという法律知識を知っていることも、自己防衛にはつながる知識になろうかと思います。
- 1)『生む』『生まない』の全権は女性にあり
- 2)認知という制度
- 3)強制認知って?
- 4)養育費請求権
- 5)養育費を請求するために法律上やっておくべきこと
- 6)意外と簡単な本人訴訟
- 7)意外と簡単な強制執行
- 8)強制執行に必要なことを調査
- 9)万一『中絶』することになった⇒費用負担の法律知識
- 10)婚約の成立時期
- 11)婚約解消時の賠償(慰謝料)について
- 12)公正証書って何?
- 13)しかし、法律には限界があるという『法律知識』
最後に男のホンネ
いかがでしたか?
非常に長くなってしまいました。
少し専門的な内容にもなってしまっていますので、ちょっと分量が多くなってしまいました。
結婚前に妊娠が分かったにも関わらず、結婚しない場合、女性が結構大変な人生を覚悟しなければならない場合が多いです。
もちろん、そういう事態に陥った原因の一端は女性にもあるかもしれませんが、やってしまったものは仕方ありません。
その後は、なんとしてでも、自分を守るように動かなければなりませんが、法律知識が少しあるかどうか?というだけで、今後の展開はぐっと変わってきます。
そのためには、ちゃんと法律上の請求権が実現されるように、一つ一つ丁寧に、対応を進め事実を積み上げていく必要がります。
この記事では、その点について、必要あ法律知識は必要十分に書いております。
もちろん、実務的な手続きの具体例については、ケースバイケースですし、裁判所のHPなどに委ねたいと思います。
上記の内容は、個人的に、このブログの趣旨とは相いれないと思われるので、割愛させていただくことをお許しください。